最近は資材高騰や人件費の問題などで、ますます新築のハードルが高くなっていますが、そんな場合にぴったりなのが、中古戸建てのリノベーション。
エリアの選択も新築より幅が広く、好立地な物件が見つかりやすいメリットがあります。
また新築を購入する場合に比べて、費用を大幅に抑えることもできるのがうれしいところ。
ただしリノベーション目的で中古戸建てを探す場合は、物件選びが大切です。
物件そのものの問題を見抜けなかったがゆえに、せっかくリノベーションをしたのに、かえって後悔した……ということも。
今回は物件選びで失敗しないために知っておきたい、3つのポイントを紹介します。
■物件選びの失敗ポイント1 ~建物が想像以上に劣化していて後悔
中古住宅のリノベーションにおいて、おすすめできない物件は主に2パターンあります。
・基礎が劣化している
基礎に亀裂が入っていると、建物の重量や負荷に耐えきれず構造的に脆弱になっている可能性があります。
また、古い物件のなかにはブロック基礎であったり、そもそも基礎がなかったりするケースも。補強レベルでは済まずに、建て直したほうが早いということもあるので、要注意です。
基礎が劣化していると、シロアリの食害により、基礎や柱にも被害が及んでいるリスクも考えられます。
・外壁が劣化している
外壁に亀裂が入っていると、そこから雨水が入り込んで、壁の内側で家を支えている柱などの構造体にダメージをもたらしている場合もあります。
雨漏りを引き起こしやすい可能性も高いので、外壁の劣化にも気をつけたいところです。
・失敗回避のPOINT
見た目は手直しされていて問題はなさそうに見えるけれども、いざ工事を始めて壁や天井を剥がしてみたら、中の骨組みがボロボロ……という例は多々あります。
壁や床、天井、窓ガラスの状態や外壁のヒビなどは、目視でも比較的分かりやすいポイントですが、基礎の内部や給排水管など、専門家でないと判断できない劣化もあります。
内見時、素人が隅々までチェックするのは限界があるので、専門家に調査を依頼するのが確実です。
■物件選びの失敗ポイント2 ~間取り変更に制限があって後悔
リノベーションにおいて、既存物件の間取りをほぼそのまま使うというケースは少なく、通常は、壁を取り払い小さくて暗い部屋を開放的につくり変えるなど、何らかの間取り変更を行うのが一般的です。
したがって、間取りを変更しやすい物件か、家のつくりである工法をチェックするのも重要です。
以下の工法は、比較的間取りを変更しにくいことを知っておきましょう。
・ 2×4工法
「2×4(ツーバイフォー)工法」とは、柱や梁だけではなく、壁がメインとなって建物を支える構造のこと。
したがって間取り変更をしようと壁を取り払うと、建物の荷重を支えきれなかったり、地震に対して脆弱になってしまうということも。
「2×4工法」では基本的に壁を動かせないものと考え、間取り変更に制約が生じることは覚えておきましょう。
・RC(鉄筋コンクリート)造
「RC(鉄筋コンクリート)造」には2種類あり、まず1つが柱と梁で建物を支える「ラーメン構造」、そして壁で構造を担う「壁式構造」があります。
ラーメン構造なら壁の位置や数は比較的自由なので、間取りを変更しやすい傾向が。
ただし壁式構造は「2×4工法」と同じく、壁を動かしにくく、間取り変更をしづらいのが特徴です。
・プレハブ工法
物件情報を調べていると、「プレハブ」という言葉をよく目にすることでしょう。
プレハブ工法は素材によっていくつかの系統があり、木質系、鉄骨系、コンクリート系に大別されます。
「鉄骨系」は柱・梁によるラーメン構造が多いので、間取りは変更しやすいのですが、木質系やコンクリート系は壁式構造が大半なので、間取りのアレンジが難しい場合があります。
ちなみに、「プレハブ」とは「プレファブリケーション」の略称で、部材を工場で生産して、一部をあらかじめ組み立てたりする住宅のこと。
ボックス型のユニットを工場でつくって、建築現場に運んで積み上げるタイプのプレハブですと、間取り変更はほぼできないものと考えておきましょう。
・失敗回避のPOINT
自分らしい暮らしをするために、リノベーションでは間取り変更が大前提……という場合は、自由度の高い軸組工法の中古住宅を選びましょう。
軸組工法は日本の一戸建て住宅でもっとも多いタイプで、木の柱と梁を組み上げるつくり方。壁を取ったり動かしたりして、間取り変更をするのが容易です。
もちろん軸組工法でも動かせない壁というのはゼロではないので、気になる場合は、内見の際に、専門家に一緒に見てもらうとよいですよ。
■物件選びの失敗ポイント3 ~耐震基準を後から知って後悔
法律では、地震に対して住宅が最低限クリアしなければならない「耐震基準」が設けられています。
木造住宅に関して言えば、1981年6月から適用された「新耐震基準」が、中古を購入する際の一つの判断基準となります。
ただし、この住宅は1981年6月に竣工しているから、新耐震基準をクリアしているので大丈夫……と考えるのは、ちょっと早計です。
木造住宅を建てるのには、通常3カ月前後は必要とします。
ですので、1981年6月竣工の物件なら、1981年の春くらいに工事されていることになるので、新耐震基準をクリアしていない可能性があります。
したがって、1981年代に建てられた物件を検討するのなら、1981年10月以降に竣工していれば、新耐震基準にのっとっている可能性が高いと言えます。
もちろん、新耐震基準以前に建てられた住宅でも、きちんとした家を建てたい、というオーナーの熱意や施工業者の高い技術があれば、新耐震基準をクリアしているケースもありますよ。
また「新耐震基準」も時代を追うごとにアップデートされ、2000年6月には、壁の量の増加や金物の使用などについてより詳しい指針が示されました。
・失敗回避のPOINT
基本的には1981年10月以降に竣工した、新耐震基準にのっとった物件を選ぶこと。2000年6月以降の物件であれば、さらに安心です。
1981年6月以前に建てられた物件でも、大手ハウスメーカーなど強い構造にこだわった家は、耐震基準を満たしているケースも見られます。
ただしその場合、壁の撤去が難しい場合もあるので、まずはリノベーションでどのような暮らしをしたいかビジョンを立てたうえで、物件探しをすると良いですよ。
■物件選びで失敗しないコツは、
早期段階で不動産・設計施工をワンストップで行える会社に依頼すること
このように物件探しで気をつけたいポイントをご紹介しましたが、物件探しをするうえで、忘れてはならない点があります。
それは「総予算」。
中古物件のリノベーションでかかるお金は、「物件購入費」+「リノベーション費用」に大別されます。
物件購入費だけで予算のすべてを使い果たしては、理想のリノベーションはできません。
そして一般的に、総予算を占める割合が多いのは、リノベーション費用よりも物件購入費用。
物件購入費用はリノベーション費用にくらべて金額調整がしやすく、エリアや駅徒歩分数、築年数などの条件を変更することで、数百万円単位で調整できる場合もあります。
したがって物件選びとリノベーション設計は別々のものではなく、同じ会社に依頼するのが得策です。
不動産購入と設計施工がワンストップなら、コストコントロールもしやすく、理想のリノベーションを実現しやすいと言えるでしょう。
物件選びで失敗しないためには、希望を明確にすることが大切です。
住みたいエリアや間取り、設備、コストなど、重視したい項目をリストアップしておくと、物件の良し悪しを検討しやすいですよ。
そして早期の段階で、不動産+設計施工をワンストップで手掛けている建築会社に相談すること。
プロの知見で、物件の状態や周辺環境など、自分では気づけない情報を教えてもらえるので、精度の高い物件探しが可能です。
中古物件の動きは早いので、悩んだり迷ったりしていて物件探しが足踏みしてしまうようなら、まずは専門家に相談してみるのが近道です。
希望をうまく言葉にできなくても大丈夫。会話の中から、ご要望を汲み取り、最適なご提案をいたします。どうぞお気軽にご相談くださいね。
またワンストップリノベーションで物件を探すメリットも過去の記事でご紹介しています。
気になった方はご覧ください。
⇒https://www.b-house.co.jp/blog/interview/158712