こんにちは。
京都府を拠点として新築やリフォーム・リノベーション工事、不動産売買を手掛けている株式会社美家です。
2024年に日本で起こった地震は、震度1以上の地震で3633回。これは観測史上6番目に多く、東日本大震災以降では最多回数だそうです。
このように地震が頻繁に発生する状況を考えると、シロアリ対策は害虫駆除にとどまらず、建物の耐震性を守る役割も果たします。特にリノベーションをしたり、これからリノベーションをするような古い家屋は、的的な点検と適切な予防措置が必要です。
南海トラフ地震へのリスクが唱えられている今、手を打てる対策は可能な限り講じておきたいもの。今回は、暖かくなると増えるシロアリ被害や耐震性への影響などをご紹介します。
■シロアリの被害はこれからの季節に増える?
シロアリは、生物学上はゴキブリの仲間ということをご存じですか?
シロアリは地中深くにコロニーをつくって暮らしているので、ふだん私たちはシロアリの姿を見ることがありません。まずふつうのアリや、特に有害なシロアリの見分け方を知っておきましょう。
日本では22種類のシロアリが生息していますが、大半は土壌改良などの面で良い働きをしてくれる益虫です。家屋に被害を及ぼすシロアリは5種類で、なかでもその9割近くを占めるのがヤマトシロアリ、残りの1割がイエシロアリです。
ヤマトシロアリは黒色、イエシロアリは茶褐色で、ともに白くありません。
通常のアリとの見分け方として、触覚の形の違いがあります。アリの触覚が「く」の字に折れ曲がっているのに対し、シロアリの触覚は直線的。またシロアリの羽は通常のアリと異なり、くすんで透明感がありません。
頭の先端に大きなハサミをもつ兵隊アリは頭の形に特徴があるので、見分けるポイントとなります。細長い円筒状ならヤマトシロアリ、卵型ならイエシロアリと覚えておきましょう。
■シロアリの被害はどんな建物や環境で発生しやすい?
まずシロアリが発生しやすい3つの条件をおさえておきましょう。
それは高い湿度、腐朽した木材、光があたらない環境というもの。
シロアリは湿ったところを好み、日光に弱いので光が入ってこないジメジメした暗い場所で活動します。こうしたところでは木材は腐朽しやすく、さらにシロアリのエサになる木材腐朽菌が発生しやすくなってしまいます。
腐朽してやわらかくなった木材はシロアリが噛み砕きやすく、さらにダメージを招くという悪循環が起こってしまうのです。
特に京都は盆地で湿度が高く、梅雨や夏場はシロアリが活発に活動するうえで好環境となってしまいます。
また古い家屋や在来工法の家では木がふんだんに使われているので、シロアリの格好のターゲットに。ちなみに鉄骨造だから安心、というわけでもありません。
■シロアリ被害の兆候とその被害の恐ろしさとは?
シロアリ被害は初動が肝心!
初期段階で対処することが、被害を拡大させない何よりの方策です。
では、シロアリ被害のサインとはどのようなものなのでしょう?
・床がきしんだり、ドアが開けにくくなる
引き戸やドア、雨戸などがスムーズに動かなくなったら、シロアリが発生している可能性が。歩いていて床がきしむような音がしたり、足元がフカフカしているような感覚を覚えれば、腐朽が進行しているケースもあり得ます。
・柱や壁を叩くと空洞音が聞こえる
見ている分には分かりませんが、柱や壁を叩いてポコンと音がするようなら、シロアリが内部で巣食って侵食が進んでいる可能性も。ひどい場合は、押しただけで凹みが生じてしまうほどです。
・玄関の木部が変色している
シロアリ被害が起こる場所の一つが、玄関です。侵入経路の面でもシロアリが発生しやすく、特に玄関の框(かまち)は格好のエサ。ある日、急に框が変色したような印象を受けたのなら、シロアリ被害を疑ってみてください。
・風呂場の木部が変色している
ただでさえ湿気が多い風呂場周辺もシロアリ被害が発生しやすい場所。柱や床などの変色となって現れます。ユニットバスより在来工法の風呂場のほうが、発生しやすい傾向があります。
・羽アリが集団で飛んでいる
4月から9月頃は、シロアリが新しい巣をつくるために群飛行動をする季節。着陸したところで新しい巣を形成するので、室内あるいは庭では羽アリを見たら危険信号!
ご近所でシロアリ駆除をしたお宅があれば、そこから逃げてきて巣をつくる可能性もあります。
■シロアリ被害が耐震性を低下させる!
このようにシロアリは住宅に被害を与え、建物の耐震性にリスクをもたらします。上記のように木部の内部が空洞化すると、構造材の強度が著しく低下しかねません。
ちなみに阪神・淡路大震災後に行われた調査によると、同じ地域・同じ構造で比較した場合、シロアリ被害や腐朽がない建物では、全壊は約2割。さらに5割以上の住宅が軽微な被害と被災を免れています。
対してシロアリ被害があった建物では9割以上が全壊という結果でした。シロアリは1階の柱と土台の継ぎ目にダメージを与え、建物と基礎をつなぐ機能が損なわれてしまうとのことです。
このようにシロアリ被害が耐震性にもたらす影響は大きいと言えるでしょう。
『阪神・淡路大震災調査報告 総集編』(阪神・淡路大震災調査報告編集委員会、2000年)、厚生省大臣官房統計情報部「人口動態統計からみた阪神・淡路大震災による死亡の状況」(1995.12)
■シロアリ防止対策は自分でできる?
シロアリ防止対策は、個人でできないことはありません。
しかし現実的には非常にハードルが高い、というのが率直な見解です。
まず道具だけでも、駆除剤、噴霧器、防護服・マスク、ヘッドライト、電動ドリルなどの工具が必要です。
そして被害部分に薬剤を撒くだけでは不十分で、ほぼ家全体に施さないと、効果は発揮されません。1つの部屋の床下に薬剤を撒くだけでも丸一日はかかってしまうので、家全体ならおよそ1カ月は必要になると覚悟しましょう。
何よりも、一般の方が薬剤を扱うのは、安全性の面からおすすめできません。薬剤の撒き方も、薬剤の種類や場所によってさまざまですし、木材の変化を見る必要があるので、一般の方では見極めきれない可能性が大。
きちんとしたシロアリ駆除、あるいは予防対策を講じたいのなら、プロに依頼するのが安心です。
■シロアリ駆除だけではなく、耐震補強の確認・実施も忘れずに!
古い家屋や木造住宅のリノベーションを得意とする建築会社なら、シロアリ駆除とあわせて部分的な耐震補強も可能です。
以下に代表的な工事内容と費用相場を紹介します。
・耐震金物の取り付け(費用相場=40万円)
土台や筋交い、柱などの接合部に耐震金物を設置し、耐震性を向上させます。
・壁に筋交いを設置(費用相場=25万円/1カ所あたり)
筋交いとは柱と柱の間に斜めに入れて壁の耐力を増やす補強材のことです。壁の配置バランスが悪かったり、耐震壁が少ない場合、筋交いを追加することで耐震性を向上させることが可能です。
・耐震パネルの取り付け(費用相場=30〜60万円/1カ所あたり)
既存の壁に耐震パネルを取り付けたり、新たな耐震壁を設けたりすることで、耐震性を増すことができます。
■耐震工事が必要なら補助金があるかどうかも確認を!
南海トラフ地震は、マグニチュード8以上の規模と甚大な被害が予想されています。もし巨大地震が発生すると、シロアリ被害で弱体化した建物は、健全な状態の建物に比べて被害を受ける可能性が高くなります。
南海トラフ地震に備えるためにも、シロアリ被害のリスクを軽視することはできません。
耐震補強やシロアリ防除を講じるのなら、賢く補助金を活用したいものです。京都市は、「京町家・木造住宅 耐震・防火改修支援事業」の令和7年度の受付を、4月14日より開始する予定です。補助金は市町村で条件・内容が異なるので自治体のホームページなどで確認してみましょう。
さらに地震保険にシロアリ防除を組み合わせるなど、出費を抑える方法も検討してみましょう。シロアリ被害が少ない建物は地震保険の適用範囲が広がります。保険金請求がスムーズに進む可能性があるので、シロアリ防除はしておくに越したことはありません。
■耐震補強やシロアリ防除は古い家屋のリノベーションに長けた美家にご相談ください!
株式会社美家は、京都内での古民家や町家など古い住宅のリフォーム・リノベーション経験が豊富です。京都の古民家や町家を知り尽くしており、シロアリ防除や耐震補強も得意とするところ。美しいリノベーションは、古い家屋を健全な状態にしてからこそできるというのが、美家のモットーです。
デザイン性にも定評があり、古い住宅はもとより、ゲストハウス・民泊などの宿泊施設やカフェなどの店舗も、既存の土壁を生かして唯一無二の空間にリノベーションすることが可能です。
高いクオリティで理想のリノベーションをかなえますので、リフォームでお悩みの方は、まずは美家にご相談ください。
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